ブラジルリオデジャネイロの治安と滞在中気をつけていること

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 Óla!こんにちは。2017年10月からリオデジャネイロに住んでいます。雄大な自然、陽気な人、美味しい食事、賑やかなイベント、ポップで可愛い雑貨・・・ どれも本当に魅力的で、是非たくさんの人に現地で熱気に触れて欲しいと、ブログを始めたわけですが、同時に、ブラジルに来るなら、日本とは全く違う治安の情報を持って滞在してもらいたいと切に願っています。

 今回は、リオデジャネイロの治安状況がどんなものか、数字と背景をご紹介した後、現地で人間観察をしながら防犯のために私が日々実践していることをご紹介します。<実践編>はかなり具体的に記載しましたので、参考にして頂ければと思います。

 私は日本、シンガポールという超がつくような治安のいい国を経て、ブラジル入りしました。気をつける、ってどういうことかのイメージがなかった私。目にするブラジルの治安情報は見れば見るほど恐怖心を煽りました。公開されている情報はもちろん事実で、知っておくべき現実な一方、ビーチやバーでお酒とともに太陽や音楽を謳歌する現地の姿もまたリアルです。南米ならではの魅力を安全に満喫する人が増えたら嬉しいです。

01.数字でみるリオデジャネイロの治安状況

 まず初めに衝撃的な数字をご紹介します。

 殺人:27.9倍、強盗:829.7倍、窃盗2.53倍

  この数字は、2016年の人口10万人あたりのリオデジャネイロと日本との犯罪発生状況より算出された犯罪発生率で、日本の何倍かという数字です。

(在リオデジャネイロ日本国総領事館の2017年11月「安全の手引き」http://www.rio.br.emb-japan.go.jp/files/000310753.pdfより)

 さて、こんな犯罪発生率を見ると、何のためにブラジルに行こうとしているんだっけ?犯罪に遭うため?という気持ちになるかもしれませんね。私はそうでした。いったん、そんな気持ちになるのも、安全な国から遊びに来る場合の防犯にとても大切なことだと思い、敢えてインパクトの強い数字をご紹介しました。

 上記「安全の手引き」は全体で14ページのレポートですので一読をおすすめします。

 その他各公的機関も様々なデータをまとめていますので、ご参考URLをご紹介します。

・外務省海外安全ホームページ海外安全ホームページ: 危険・スポット・広域情報

 リオデジャネイロはレベル1=十分注意、です。ブラジル以外の渡航先についても情報が得られます。

・在ブラジル日本国大使館在ブラジル日本国大使館

 安全対策のページにリンクしています。

・在リオデジャネイロ日本国総領事館リオの治安情報 : 在リオデジャネイロ総領事館

 2017年度に発生した事件一覧にリンクしています。

02.ブラジルの治安が悪い理由

 さて、どうしてブラジルはこうも犯罪が多いのでしょうか。ホテルやビーチ、レストランで出会う多くのブラジル人は陽気で親切なので、なかなか信じられません。しかし、ブラジルにおける貧富の差、独特の地形、そしての流通という3つの社会背景が、日本とは異なる犯罪を発生させていると考えています。

(1)貧富の差

 ブラジルの貧富の差は残念ながら世界でも有数です。世界的ベストセラーとなった「21世紀の資本」で知られるフランス人経済学者のトマ・ピケティ氏率いる研究グループの調査によると、ブラジルの経済格差の大きさは、中東諸国に次ぎ、インドやサハラ砂漠以南諸国と同じ水準である事がわかったとのことです。

 2017年12月14日発表の世界格差調査によると、2016年のブラジルでは、経済的に豊かな上位10%が全体の富の55%を所有し、一方貧しい方から50%の人が所有していた富はわずか12%だったそうです。

 また、ブラジルの地理統計院(IBGE)が2017年12月20日に発表した、国内諸市の生活水準調査報告書によると、農村以外の地域に住む人(統計上の都市人口)の76%(4人に3人)は標準以下の環境で暮らしている事がわかったと、21日付現地紙が報じています。

 同調査では、市街地住民の生活環境(条件)を、住居、衛生設備(上下水道など)、学歴、所得、購買活動の利便性、ネット環境などの諸項目を基に、A(最高)~K(最低)の11段階にランク付けし、A~Dランクを「適切な環境」、E、Fを標準としていますが、首都であるブラジリアでは、全体の11%の人々がAランクの環境で生活する一方、北東部の諸州では、ほぼ6割の人がGランク以下の環境で暮らしているそうです。(ニッケイ新聞2017年12月16日22日記事より)

(2)地形

 お金も仕事も集まる大都市では二極化した人々がすぐ近くで生活しています。

 中でもリオデジャネイロは、その独特な地形からなる「山と海との間のカリオカの景観群」が世界遺産登録されていますが、山側には、斜面などの通常は家を建てられないエリアに、バロック小屋等の簡易な建物を作り不法占拠しているファベーラ(スラム街)が形成されていて、リオデジャネイロだけで1,000か所以上あります。

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ファベーラの一例。山の斜面に建物が密集している。

 ファベーラは今や世界的なイベントであるリオのカーニバルの発祥地である一方、麻薬販売組織などの温床であったり、日々の生活の困窮から犯罪に手を出す人が絶えません。

 一方、海側は限られた平地にホテルやコンドミニアムがひしめいています。

(3)銃

 を持つことは法律で厳しく規制されているものの、連邦警察に登録すれば個人所有が可能です。犯罪に使われる銃は不法密輸のものが多いですが、流通経路があるというのも日本との大きな違いです。 

 このような背景から、麻薬犯罪組織の抗争事件、銃器やナイフを使用した路上強盗、自動車強盗事件及び商店に対する強盗事件等が頻発しています。

 特に麻薬密売組織間の抗争に治安当局が介入した銃撃戦がスラム街で昼夜を問わず発生し、多くの一般市民が巻き添えになって死傷しています。

 さらに、外国人旅行者を狙った置き引き、ひったくり、強盗等がコパカバーナやセントロ地区を中心に頻発しています。

 手口は、自転車又は徒歩で接近し後ろから追い越しざまにひったくる、前後から挟み込んだり数人で取り囲む等して財布を抜き取ったり手荷物を奪う、一人が親しげに話しかけ、それに対応している間に他の一人が荷物を奪い去る等の手口があります。

 手荷物だけでなく、スマートフォン、腕時計、カメラ、ビデオ及び装身具も狙われます。(銃以降の記載は外務省海外安全ホームページ: 安全対策基礎データより抜粋)

03.滞在中に気をつけること<実践編>

  では、滞在中は何に気を付けるべきでしょうか。それは万が一事件に巻き込まれた場合、かなりの確率で相手は銃を持っているのですから、最も優先すべきは、事件に巻き込まれないようにすることです。

 そこで、私が日々実践していることをご紹介します。

1.ファベーラなど危険場所へは近づかない

 最近はファベーラツアーなどもありますが、犯罪組織の温床であり、死傷者が多数出るのは、犯罪組織間の抗争時の銃撃戦とそれを止める軍警察による発砲の流れ弾にあたるというケースです。ファベーラでの緊張状態は不安定で、日々どこかしらで銃撃戦が起こっていることを考えると、近づかないのが一番だと思います。

2.夜間は決して歩かない

 22時以降は必ずタクシーを使い、その前の時間でも日が落ちて暗くなったら歩きません。現地の駐在員の方からは100m先の場所への移動でも車を使うように言われました。ちなみにUberはタクシーの半額程度、運転手のレビューを事前確認出来るのでおすすめです。通常の黄色いタクシーを使う場合は、車体に通し番号があるかを確認しましょう。

3. 携帯をむやみに出さない

 携帯は世界中で流通出来るので、ひったくりが頻発しています。ファベーラには月収3万円に満たない生活をする人々がたくさんいますが、その人にとっての10万円のiphoneは、私達の目の前に100万円の札束が無防備に現れるのと同じようなイメージです。携帯を使う際は周囲の様子を確認してからにしましょう。

4.ラフな格好でいる

 どうせ襲うなら相手だって1度でたくさん収穫のある人を狙います。お金持ちそうにみえるとターゲットにされやすいので、高価なアクセサリーはリオでは外しましょう。私は時計やネックレスはしていません。(ピアスは現地の人もしているので着けています。)また、服装もビーチサンダルに合うラフな格好が、観光客っぽくなくて(地元っぽくて)良いそうです。ブラジル発祥ビーチサンダルメーカーハワイアナスのショップがたくさんあるので、お土産を兼ねて購入するのもいいと思います。

5.なるべくカバンを持ち歩かない 

 クラッチバックは封印しました。犯罪者から見れば「大事なものが入ってます」というシンボル以外の何物でもありません。同じ理由で最近はポシェットを後ろから外すという新手の犯罪も出てきています。トートバッグやリュックをしっかり抱えている人は多いですが、現金や携帯をポケットに入れて、手ぶらで歩けるならそれがベターです。

 6.怪しいと感じる人がいたら距離をとる

 生活に困って犯罪に手を染めているので、犯人は裸足だったり、あまり衣服を身に着けていない少年だったりすることが多いです。(18歳未満の少年は刑務所にいかなくて済むため、組織の最年少の子供にスリなどをさせることが多いようです)日本にいるときよりも「空気を読む」力を使い、怪しいと感じたら道を変えるなども1つの手段です。

7.後方確認をする

 警戒心をあらわにすることも有効です。ブラジル人はよく後ろを振り返ります。

8 昼間でも人通りの少ない道は通らない

 人通りの多い場所でも犯罪は起きますが、少数の人間を集団で襲うことが多いため、人多りの少ない道は避けたほうが無難です。

9.持ち物や金銭を分散する

 万が一事件に遭ってしまったら、多少のお金は渡すことになるので、お財布ごと全て取られるよりも、50レアル程度の現金を手渡せるようにしておくと、被害が最小限に出来ます。現金やカードはポケットに分散して持ち運んでいます。

10.犯罪に遭ってしまったら抵抗しない

 安全を第一に考え、抵抗しないことが大切です。9.に書きましたが、多少の現金は渡しましょう。命は買えません。なお、現金を出す際に、慌ててポケットに手を入れると、銃を出す動作と相手が間違えるケースがあるため、ゆっくりと抵抗しないという姿勢をみせることが大切だそうです。

11.外では意識がなくなるまで飲まない  

 道路で寝ても安全な国は日本くらいです。自力でホテルに帰る力は残しましょう。ちなみに、私はお酒を飲むとかなりテンションが上がるタイプで、ある日のタクシーの待ち時間、知らない人が近づいてきたことに気が付きませんでした。その人は幸い犯罪者ではなく、むしろ、そのままだと犯罪に遭うから気をつけろとの忠告をしてくれました。レストランの中、タクシーの中、ホテルの中、目的地に着くまでは、周囲への意識をなくさないようにしましょう。

 以上を実践し、執筆現在私は犯罪に遭っていません。(11.はギリギリでした。10.までを意識していると、普段の生活では案外大丈夫だな、という気持ちになりますが、気が抜けたときが一番危ないという実例。油断禁物です。)

 海外でよくある、親切そうに話しかけたり手伝ってくれると詐欺だった、というぼったくり経験はブラジルではなく、街で出会うブラジル人は純粋に、寛大で温かな良い人ばかりだと思います。

 

  さて、ここまで読んで頂いて、少し気持ちが沈んでしまったでしょうか。日本とはだいぶ違うということを知った上で滞在するなら、きっと楽しい旅になるはずです。

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